内服薬処方だけの糖尿病治療

診療時間が過ぎても多くの患者さんが待合室で順番を待っているのは
当たり前の光景のようです。

高血圧・糖尿病・高脂血症などの治療を継続して受けている方々が
たくさんいらっしゃることでしょう。

これらの生活習慣病は、まず、適切な食事と運動量を示し、
それでもコントロールが難しい場合に薬物療法が加わるはずです。


でも、現実には どうでしょうか?


「糖尿病で薬を飲んでいるんだけれど、ちょっと話が聴きたい」
先日、そんな嬉しいお言葉をいただきました。

おおよその病状をお聞きしたくて、「ヘモグロビンA1cは、どのくらいですか?」
なんと それにも、 「? ・・・わからない。」

これは、病気についての基本的なことも何も説明されていないということ。
ご高齢ですが、しっかりした理解力のある方ですから。


糖尿病の治療の目標 = 合併症の予防

合併症と高血糖との関係

具体的な食事のとり方

1時間ほどかけて、糖尿病に関する基本的な知識を確認しましたが、
これまでほとんど医師からのお話はなかったようです。

ただ、『糖尿病食事療法のための食品交換表』 を紹介されて
購入を勧められただけだそうです。

「見てもわからないから、読んでないんです。」
「そうですよねぇ。」

でも、
1600Kcalの献立写真を使って、
「たとえば、この150g っていうご飯の量は、お米0.5合弱なんですよ。」
「そうか、じゃあ一人で一日2合食べているのは多いわけですね。」


お食事の様子を聞いていると調理法の傾向もわかります。
「お野菜をたくさん取るようにしているようでいいですね。
 ただ、炒め煮が多いような気がするのですが、油をよく使いませんか?」
「そう。昔からそう! 体にいいっていう油、今は“シソ油”をたっぷり使うし。」
「油の使う量を少し減らすだけでカロリーはずいぶん減らせそうですよ。
 一日につかう油の量は抑えて、良い油を選べばいいんです。
 良いものも 摂りすぎたら逆効果ですから。」

本を全部読む必要はありません。
必要なページを示し、使い方の例を具体的な食材で一緒にやってみました。

今日は、主食(ご飯)の適量がわかっただけでも良かったんです。
(パンや麺類ではなく、主食はご飯、なのですって。)
ですから、表1は ほぼOK。

少しずつ理解して、生活の中に取り入れていけばいいんです。



「きっと 医者だって この本の使い方を知らないんじゃないの。」

「たぶん、自分で食事の用意をしない医師には難しいでしょうねぇ。」
(「指導している暇はない」 だけではないでしょう)


「分からないと、お医者さんに何にも聞けないんですよ。」

そう、私の支援したいところはそこです。

知らなければ質問もできず、
医師の提示するままの医療を使っていくことになります。

食事と運動という基本的な実践によって、
肥満のある方は体重を適正化するだけで、
血糖値も血圧値も改善してくることが多いのです。


〇さんは、食べることが何より楽しみ。
合併症の兆候もなく、おそらく軽症の糖尿病でしょう。
膝のことを考えると 少し体重を減らした方がいいように思いますが、
何を大事にしてどう生きるかは、ご本人が決めること。
少なくとも、カロリー計算をしながらの厳格な食事療法は必要ないでしょう。



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