『がんになって分かったこと』 拝読いたしました。

がん患者やその家族のための相談会「サルビアの会」
(茨城県古河市)

ブログを通じてその存在を知りました。
「がんなんかに負けてたまるか」
~がん患者の会の人たち


赤荻栄一先生の著書
『がんになって分かったこと ~さまざまながんの素顔と元気な患者たち~』
を拝読いたしました。

お名前や経歴から
「もしかしたら」と思っていましたが、
やはり、約30年近く前、
先生とは筑波大学付属病院時代に
病棟でご一緒していました。

保健師として
がんに関する相談にも対応していきたいと
考えているのですが、
しばらく
医療より保健予防の分野に
身を置いていたこともあり、
現在の“がん治療” について
もっと知らなければならないことがたくさんあることを感じ取りました。
説明の仕方だけではなく、
基礎知識としても大変参考になりました。


それにしても「がん」やその治療について
これほどわかりやすく説明することができるなんて・・・
患者の立場の方々から、
ご家族の方々から、
心の中のそのままの気持ち(本音)を
聴きつづけている先生だからこそ
可能なのですね。

がんに向き合う人の心の中の動きを
ここで紹介される患者さんの言葉を通して
伝えてくれます。

「・・・患者の会は、健常者を前にしては自分の苦しみについて一言も話すことのできないがん患者にとって、どんな思いも容易に口にすることのできる場である。だから、いちど参加した人は必ずまた参加する。こうしてサルビアの会は続いていく。」(p.294)

ピア・サポートの力が活かされています。

がんになってみなければわからない気持ち。
決して取り去ることのできない
転移・再発への不安。
 ・・・
これは がんになったことのない私には
分かろうとすることしかできません。


次の文章は、
「おわりに」の最後の部分から
抜き出させていただきました。

「がんは、決してこわくありません。もっと正確に言えば、決してこわいものばかりではありません。どこにできた、どういうがんなのかが大事なのです。それを確かめたらつぎにどういう状態、つまり、転移があるのかどうかなど、詳しい情報を手にすることが重要です。そして、どうするのがいいかをじっくり考えることです。少なくとも、がんと言われたらすぐに命がなくなるなどということは、ほとんどの場合、ありえないことなのです。
本書を読んでいただいて、それを少しでも理解していただけたなら幸いです。」(p.297~298)

「“がん”です」と検査の結果をつげられた時、
“がん”というその言葉を聞いただけで
頭の中は真っ白になり、
その場で 医師の勧める治療に
「お願いします」と
決めてしまうことが多いのです。

この本に紹介されている方々は、
一度で終わらない治療の繰り返しのなかで、
それに疑問を感じ、
「サルビアの会」で意見交換しながら
医師や治療との付き合い方を
学んでいらっしゃるようです。


約半数の人が “がん” になる時代。
私は皆さんに 
“がん”になる前に
ぜひこの本を手に取っていただきたい

と思いました。

その人や周りの人がもつ“がん”のイメージが、
治療を含めて
がんとどのように生きていくのかを決める鍵になるようです。

イメージではなく、
もう少し知識として“がん”を知っていたら・・・
大切な時間を治療スケジュールと
腫瘍マーカーの数値に
振り回されて過ごしてしまう
・・・そんな悲しいことを
避けることができるのではないでしょうか。

「標準治療に従う」でも
「治療はしない」でもなく、
自分にとって最善の医療を選択しながら 
自分らしく最期まで生きるためには、
“がん”と診断される前に 
“がん”について正しい知識を持っておくことが
必要だと思うのです。



外来で化学療法が受けられ、
がん患者の就業がクローズアップされる時代になっても、
世間一般の“がん”のイメージは
30年前のものと
あまり変わっていないのかもしれません。

治療を続けながら
仕事を含め普通の生活を送ることができる社会を作るためにも
私たちは、
“がん”について正しく知らなければなりません。

「・・・がん患者だからやっていけないということは、なにもない。がんに対する誤解で最も多いのは、このことである。がん患者は栄養を取り無理をせず安静にしていないといけないと考える。これは、がんを恐れるあまりに起こる、もっとも初歩的で根本的な誤解である。」(p.46)


私自身、
5年ほど前に実父が すい臓がん に罹って、
たくさんのことを学び直しました。
父の持つ検査データや処方・治療経過記録から
現在のがん治療と医療体制 ・・・
検査機器も治療薬も
次々に新しいものが開発されているめまぐるしい世界です。
“TS-1”
→ 「どう使う」「どんな副作用が出やすい」 
関係する情報について一つ一つ調べながら、
父の状態を経時的に理解していきました。
考えました。
さまざまな問題にぶつかりました。
素人の父が
抗がん剤に期待する気持を否定せずに、
でも
抗がん剤の作用で体が思うように動かなくなっていることを
分かってもらうにはどうアプローチするか。
「家で看るなんて無理」という同居の家族の気持ちと、
入院したくない本人の気持ち
 ・・・どう調整するか。
医師に積極的に希望を伝え 協力を求める私の姿は、
「お医者さんを怖がらせて!」(母から非難)。
最終的に、何を優先するか・・・。

そして、
父は、痛みに耐えながらも
自分のやりたいことをやり遂げ、
自ら入院を決めました。
真に父らしい最期の生き方だったと
(私は)思います。
病院とそのスタッフの暖かい看取りにも
感謝でいっぱいです。
★(2014/05/19)

その時に自分にできる最善のことはできた
と思う一方で、
それでも、
確かに100%満足ではない何かがあるのも事実です。

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